過疎地域神社活性化への取り組み

例祭(れいさい)

宮城県 宮城県神社庁本吉郡南部支部 二渡神社 平成30年~令和2年実施

令和6年04月19日

 

執行日時

旧暦9月1日

文化財指定

指定なし

祭礼行事の概要

神事のみ

活性化の目標

「震災以前の状態への回復とその維持(例祭への参列・参加人数の維持※1)(現状の例祭を継続※2)→地域外への移転者や氏子区域出身で都市部在住の方も例祭に参加できるような環境を作る。

※1※2例祭を含む神社行事の一切は地区契約講が執り仕切るため、神社側で決める訳ではない。

3年間の活動計画

・1年目

震災以前と同様の例祭を行う(前年までは簡略化されていた)→不足していた物品の充足。支部からの祭員を2名増員。神社庁からの視察、調査を兼ねた参列。どんと祭の主体を担う青年会への助成。 

・2年目

例祭の規模拡大を目指す→地区契約講と神社庁・関係団体が連携を取り、地域の人員のみでは実施困難になっている参道の整備などを行う。例祭に伶人と巫女舞を。 

・3年目

神楽奉納までを実施する。(地域外からの参加者増)→例祭については2年目に倣う。

神楽奉納を実施するための準備・広報等を神社庁、関係団体との協力体制のもと行う。舞台を組んでの神楽奉納を行い、地域外からの参加者を集める。

3年間の活動内容

・1年目

震災以前と同様の例祭の実施→前日祭・例祭・直会の全てを実施。(震災以前はこの形であった)

地区契約講と神社庁との協議を実施。例祭の祭員に支部神職を2名増員。老朽・不足により取扱いが困難だった三方等を揃え、長距離の持ち運びができるように改善。(宮司宅から神社まで氏子が神饌を乗せた三方を持って進むのが以前の形だったため)神社庁から例祭への視察を兼ねた参列。

これまで神社主体であったどんと祭(1/8)が本年から青年会(氏子で構成されているが氏子青年会ではない)が地域活性化をねらいとして運営することになったため、それに対する予算的な助成を実施。

・2年目

○例祭

2年目となる令和2年の例祭には、昨年同様に、支部内の神職の協力を戴き祭員として2名に奉仕戴いた。

本年は県内神職・雅楽会より協力を戴いて伶人3人が加わった。

○どんと祭

本年度のどんと祭は雨天により1月8日から1月13日に延期して行った。

休日開催となったため、昨年よりも来場者数は増加となった。

神社庁職員の参列、撮影の協力を戴いた他、県内の神社より、正月時期であることから「人的な支援はできないが…」ということで、物的な支援を戴いた。

○二渡神社の境内地には、古くより遠方の神社(金華山、鹽竈神社など)を遙拝する場所があるが、その場所には目印として石が置いてあるだけであることから、地域住民(特に「契約講員」ではない女性や、20~30代の氏子)から「どの場所に拝んでいるのかわからない」という声があった。地元の青年会から「この場所に標柱を設置してはどうか?」という意見も上がったことから、標柱を製作し設置をする。(現在、業者に作製依頼中)

・3年目

指定3年目には、神賑行事の開催を予定していた。

内容としては、野外に舞台を設営しての「神楽奉納」「地域の小学生によるヨサコイの公演」を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に鑑みて開催を見合わせた。(翌年に延期)

例祭は感染対策を講じた上で通常通りに斎行。

・祭員には支部内に神職の協力をもらっていたが、予定していた2名から1名に減らしての奉仕とした。

・予定していた神楽奉納を見合わせたこと、また新型コロナウイルス感染症の収束の祈願ということで、神楽を一演目だけ奉納した。(神楽保存会は演舞に必要な最低人数の4人のみでの参加とし、疫病退散の意味合いを持つ演目を奉納)

3年間の活動終えて

1、3年間の活動全般について
①3年間の活動について満足していますか。

満足している。

東日本大震災の影響もあり、地域では神事や行事を含む多くのことを再開再興するタイミングを掴めずにいたが、「神社本庁が、神社庁が、自分の地域のような小さい神社(地域)を支援してくれる」ということが「注目してくれている」という認識に繋がり、行動を起こすよい機会になった。

2、活動計画とその成果について
①最終的な目標は達成できましたか。

達成できた。

コロナの影響で延期などもあったが、氏子を含む地域住民の結束が強くなった。中でも若い世代の意識が神社と地域に向いたことは大きい。

②1年目に立てた活動計画に変更はありましたか。

あった。

新型コロナウイルス感染症により最終年の神賑行事が延期となった。

③活動成果として増加したものはありましたか。

特になし。

・その要因について

3年間で大きな変化はないが、長い目で見れば良い方向に変わってゆくであろう期待が持てる地盤ができたと思える。

④祭礼行事の活性化について、3年間の活動を通して祭礼行事の斎行に変化はありましたか。

あった。

斎行自体には変化はないが、雅楽演奏がある神事を経験したことで、氏子から「今後も雅楽を取り入れたい」との声があった。(我々でも演奏できるものだろうか?などの声もあった)

⑤3年間の活動を通して、祭礼行事の継承・復興に向けて、今後の目途は立ちましたか。

立った。

⑥支部内や近隣神社との協力体制の構築はできましたか。

今後検討したい。

支部内神社は皆ほぼ同じような環境にあるので、高齢化が進むことによってお互いの協力なしには通常通りの神事、行事を行うことは難しくなる。やはり、支部内・近隣での協力体制は必要だと実感した。

⑦指定地域神社間の神社役員・総代・氏子崇敬者の共同組織の結成、神職以外の関係者または外部団体との連携等他団体との協力体制の構築はできましたか。

今後検討したい。

高齢化、過疎化が進むことで地域内だけでは今後の行事を行うことは厳しい。どのような形になるかは別としても、地域を越えた協力体制は必要と実感した。

⑧その他3年間の成果があれば記載して下さい。

東日本大震災以降に始めた「どんと祭」については、氏子区域4地区が合同で行うのは初めてで、唯一の行事(神事)である。震災以降数年間は神事のみを少人数で行っていたが、今回の支援を戴くことで、多くの住民が集まる行事に発展させることができた。特に30代~40代に「地域のこと=自分のこと」という意識が生まれたことは大きい。 

⑨3年間の反省点や改善点があれば記載して下さい。

「例祭に何か新たな取組みのアイデアは?」と意見を求めても、氏子(若い世代)は、そもそも自分の地域のお祭りしか経験がないため、どうしたらよいのかわからないようだった。可能であれば他の地域、神社の祭典を皆で見学する機会を設ければよかった。また、今後そのような取組みができるようにしたい。

3、今後の展望及び計画について
①指定期間終了後の活動について力を入れてゆきたいことはありますか。

地域との連携。

・具体的な計画

地域を牽引する世代を育てたい。彼ら同士の交流や結束という部分に焦点を当てた取組みを行いたい。(今後ますます彼らの力がなければ神社や地域の行事や運営は厳しくなってゆくことが明らかであるから)

②指定期間終了後の体制について要望することがあれば記載して下さい。

特になし。 

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