清め塩

お清めに塩を用いることは日本の宗教的習俗であり、海水を意味する「潮」とも通じてさまざまな風習があります。

古くは日本書紀や古事記に、黄泉(よみ)の国から戻った伊邪那岐命(いざなぎのみこと)は、自らの体に付いた黄泉の国の穢けがれを祓うため、海水で禊祓(みそぎはらい)を行ったことが記されています。

このことが、民間においては「潮垢離(しおごり)※塩垢離とも言う」といわれる海水を浴びて身を清めたり、海水を沸騰させた「塩湯(えんとう)」が病気治療や無病息災のために用いられるといった風習に繋がっていきました。
これも、塩が持っている優れた浄化力や殺菌力を知っていたためです。

現在、神社のおまつりにおけるお祓いでも、塩水でお清めを行う塩湯が用いられます。
また、一般でも葬儀の際などに塩が用いられるのは、こうした信仰に基づき非日常と日常とをわけるお清めの行為を象徴的に行ったものといえます。

塩の力に祓いの願いを託すことは、祖先から受け継がれた英知なのです。