伊勢の神宮のお神札 神宮大麻をおまつりしましょう

神宮大麻(じんぐうたいま)
神宮大麻じんぐうたいま

神宮大麻とは

皆さまが住む地域の氏神さまをはじめ各地の神社には、その神社の御祭神のおちからが宿るお神札があります。中でも伊勢の神宮の神さまである天照大御神のおちからを宿し、私たちにより大きな恵を与えてくださるお神札を特に「神宮大麻」と称しています。

御祓大麻(おはらいたいま)
御祓大麻おはらいたいま

神宮大麻の「大麻」とは、本来「おおぬさ」と読み、神々への捧げ物、お祓いの際に用いられる木綿や麻を指します。このことから、厳重なお祓いを経て授けられる清らかなお神札を「大麻」と呼ぶようになりました。

尚、地域によっては「お伊勢さん」や「天照さん」、「お祓いさん」、「大神宮さま」と親しみを込めて呼ばれることもあります。

神宮大麻の歴史

平安時代の末期、伊勢の御師おんしと呼ばれる祈祷師が、全国各地で祈祷を行い、その印として「御祓大麻おはらいたいま 」を頒布したことに始まります。江戸時代後期には、全国の世帯の約九割が御祓大麻を受けていたと考えられています。御師は伊勢の神宮に奉仕する神職でもあり、全国からの参詣者の案内や神楽奉奏、宿泊の提供なども行い、全国の崇敬者との橋渡しとなっていました。

この伊勢の御師による「御祓大麻」の頒布は、明治維新後の制度改革により廃止されましたが、明治天皇の思召しにより、明治五年、皇大神宮拝礼のための大御璽である神宮大麻として、神宮より直接、全国民の家々に漏れ落ちることのないよう頒布されることとなりました。後に数度の変遷を経て、現在は全国の神社を通じて頒布されています。

伊勢大大神楽之図(いせだいだいかぐらのず)
伊勢大大神楽之図いせだいだいかぐらのず

どこで受けられるの?

神宮大麻は全国の神社で頒布されており、十月頃から皆さまのもとにおわか ちできるように用意されています。詳しくは、氏神さまやお近くの神社にお問い合わせ下さい。毎年、暮れまでには新しい神宮大麻を受けて、輝かしい新年を迎えましょう。

神宮の神楽殿で授与されているお神札と、氏神さまを通じて頒布される「神宮大麻」との違い

現在、大麻には大きく分けて二種類あります。それが「頒布大麻」と「授与大麻」です。

頒布大麻は、全国の氏神神社を通じておわかちされている大麻、つまり神宮大麻のことです。明治天皇の思召しにより天照大御神の御神徳を全国のご家庭にもわか たれているもので、国の平安と全国の家庭の無事、国民一人ひとりの幸福を祈り、国の隅々にまで天照大御神の御神徳が行き渡るように祈念されたお神札です。

授与大麻は、内宮外宮の神楽殿において授与されている大麻のことで、神宮に参拝された方々が御神前に自ら額づき、個人的なお願いも含めた参宮の「しるし」として、また、それぞれの祈念が込められたお神札です。伊勢の神宮で直接お神札をお受けになった方も、神宮大麻と合わせておまつりしましょう。

伊勢の神宮とは

伊勢の神宮は、正式には「神宮」と申し上げ、皇室の御祖神みおやがみであり、国民から総氏神のように崇められる天照大御神をおまつりする皇大神宮こうたいじんぐう内宮ないくう)と、天照大御神のお食事を司り、衣食住、産業の守り神としても崇敬されている豊受大御神とようけのおおみかみをおまつりする豊受大神宮とようけだいじんぐう外宮げくう)の二つの正宮をはじめ、十四の別宮、百九の摂社・末社・所管社を含めた百二十五のお社からなります。

古くから、「お伊勢さま」、「大神宮さま」などと称され、日本人の心のふるさととして親しまれています。

御鎮座の歴史

太陽のように光うるわしく、八百万やおよろず といわれる神々の中でも最も尊い神さまと仰がれる天照大御神をおまつりする内宮は、約二千年前に伊勢の地にお鎮まりになりました。

天照大御神が御孫である瓊瓊杵尊ににぎのみことをこの国にお降ろしになるにあたり、国家の永遠の繁栄を祈って、八咫鏡やたのかがみ をはじめとする三種の神器をお授けになりました。以来、八咫鏡やたのかがみは大御神の「この鏡を私と思いおまつりしなさい」とのお言葉に従い、歴代の天皇によって皇居の中で大切におまつりされてきました。

しかし、第十代崇神すじん天皇は八咫鏡やたのかがみ を宮中でまつるのは畏れ多いと、同じ大和国(奈良県)に特別なまつりの場を設けられ、さらに次の垂仁すいにん 天皇の御代には、皇女・倭姫命やまとひめのみことが大御神の永遠に鎮まる場所を求めて国々を巡られ、現在の地に鎮座されました。

日本の神話

氏神さまと伊勢の神宮

私たちの祖先は、暮らしの中で神さまをまつり、その恵に感謝してきました。街や港を見下ろす高台や商店街、農村地帯の一角などに鎮守の森があるのを各地で見かけます。それらの多くは地元の氏神さまであり、地域の守り神として大切に守られてきました。

そして、全国に鎮まる神社の中で、皇室の御祖神をおまつりする伊勢の神宮は、国民の総氏神のようなご存在として時代を超えて人々に崇敬されてきました。氏神さまのお神札と神宮大麻を合わせておまつりすることで神威も益々高まります。

神さまを敬う心は、伊勢の神宮を始め、地域の神社を中心に親から子へ、子から孫へと、伝え継がれる中で培われてきたのです。

なぜ神宮大麻をおまつりするの?

なぜ、家庭や職場の神棚に地域の氏神さまのお神札とともに神宮大麻をおまつりするのでしょうか。それは、皇室の御祖神である天照大御神をおまつりする伊勢の神宮は、私たち日本人の総氏神のようなご存在であり、その御神徳によって日本は秩序づけられ、発展してきた国と信仰されているからです。

年末になると、家庭では新しい年を迎え、神さまの瑞々しい生命力をいただくため、新たにお神札を受けます。私たちにとって、家庭は大切なおまつりの場であって、神さまとともに日々の生活が営まれてきました。そうした実感が日本人の信仰の大切な基礎を形作ってきたといえます。

おまつりしましょう(神棚の起源)

神さまを棚にまつるという故事は、一三〇〇年以上前に編纂された日本最古の書物である『古事記』に記されています。天照大御神が伊邪那岐命から賜った神聖な宝物を、神さまとして棚におまつりされたという神話で、今日の神棚が伊勢の神宮と深い関わりのあることがうかがわれます。

また、伊勢の神宮といえば、古くから日本中の信仰を集め、御師によって御祓大麻が全国に頒布されており、当時、各家庭では、その御祓大麻をおまつりするために、「大神宮棚」という特別な棚が設けられていました。以後、この棚を中心に家庭のまつりが行われるようになったと伝えられています。

お神札のまつり方

神宮大麻奉製に関するおまつり

大麻暦奉製始祭 たいまれきほうせいはじめさい

大麻暦奉製始祭(一月上旬)

年頭にあたり、今年の大麻と暦の奉製を始めることを大御前に奉告します。
禰宜以下の神職が奉仕し、大宮司以下、大麻・暦の奉製に携わる奉製員等が参列します。
参籠潔斎をし、斎服を著した禰宜が案前に進み、今年一年間に奉製する大麻の第一号となる大麻に謹んで神璽しんじを押捺します。

大麻用材伐始祭 たいまようざいきりはじめさい

大麻用材伐始祭(四月中旬)

大麻の御用材を伐り始めるにあたり、宇治橋にほど近い丸山祭場で行われ、「大宮山の木木の木本に坐す大神」をおまつりします。
禰宜以下神職が奉仕し、侍烏帽子さむらいえぼし素襖すおう を著した工匠が忌斧をふるって「伐始きりはじめの儀」を行います。
また、五色の薄絁うすぎぬ、木綿、忌物として鉄の人像・鏡・鉾等もお供えされます。

大麻修祓式 たいましゅばつしき

大麻暦奉製終了祭(十二月下旬)

年末にあたり、今年の大麻と暦の奉製が無事終了したことを、慎んで大御前に奉告します。
禰宜以下の神職が奉仕し、大宮司以下、大麻・暦の奉製に携わる奉製員等が参列します。

大麻修祓式(月に数度)

奉製された神宮大麻は月に数度、丁重にお祓いされます。

神宮大麻 Q&A

神宮大麻はどの神社でいただいても同じなの?
はい、同じものです。
神宮大麻は、その用材から奉製に至るまで、一貫して神宮の中で取り扱いがなされています。用材は、神宮の山から伐り出し、奉製するのは、専門の方です。各地の神社に届くまでの間には、節目ごとに神宮の神職によるお祓いが行われています。このように奉製された神宮大麻ですから、全国どの神社でも同じものが受けることができるのです。是非、氏神さまのお神札と合わせてお受けください。
お神札は一度いただけばいいの?
お神札は毎年取り換えて、新しい年を迎えてください。
新年を迎えて、気持ちが新たになるように、お神札を新しくすることは、神さまが新たなおちからで私たちをお守りくださるということなのです。
前の年におまつりしていたお神札は、感謝の気持ちを込めて神社へお納めください。
喪中のときお神札はどうするの?
お神札を受けることは避け、いみが明けてから受けるのが一般的です。
その期間には地域差がありますが、目安としては五十日(仏式では四十九日)とされています。
これは亡くなった方の弔いに専念するためで、すでにおまつりしている場合は、神棚やお神札を半紙などの白紙で隠し、お供えやお参りは控えます。
神宮大麻は大きい方がいいの?
そんなことはありません。
神宮大麻の大きさには三種類ありますが、納める神棚やおまつりするスペースに合わせてお選びください。
氏神さまの御祭神が天照大御神なのですが、神宮大麻もおまつりしないといけないの?
もちろんです。
全国の氏神さまで、○○大神宮や神明・伊勢・天祖神社等の社名をもち、天照大御神をおまつりしている神社は多数あります。
しかし、同じ神さまであっても、それぞれのお社で鎮座の由緒が異なります。氏神さまは私たちの住んでいる地域をお守り下さる神さまです。
そして、広く日本をお守り下さっているのが伊勢の神宮です。同じ天照大御神でも氏神さまのお神札、神宮大麻を一緒におまつりしましょう。

写真提供:神宮司庁・神宮徴古館