神社本庁

神道

A 年中行事

1)正月

 年中行事の代表は新年の儀礼で、現在の都市社会では正月三日間に神社・寺院に参拝するのが新年の第一義となっているが、農村地域では今もなお年神さまを自家に招き、或いは村落単位でその祭事を行い、先祖の霊と共に特別に調理された料理と酒とを共食する儀礼が行われている。都市地域でも住居地の産土(うぶすな)神社で拝受した神札及び皇大神宮で祓えを行った標(しるし)の麻を自家の神棚に祀り、その後、一家揃って屠蘇を戴き、正月料理を会食するのが一般的である。

2)お盆

 七月或いは八月の中旬に行われる先祖霊の祭祀であるお盆行事も、現在では中国で成立した孟蘭盆(うらぼん)経に依拠する仏事だと説明されたりしているが、墓参りをした上、折角浄土に往生して現世の煩悩苦から解放された筈の祖先霊を現世に呼び戻していること、一家・一族が集まって特別に調理した食物を楽しく会食している事実からも、日本人本来の祖霊祭祀、神道信仰に基づいた民間の習合信仰であると考えられる。特に仏教は本来、個人霊魂の死後存続を説いてはいないからである。

3)その他

 その他、年中行事には農工商の職業によって特色が有るもの、また生活の安穏と幸せとを願い、災厄を除く事を願ってのものが多く、仏教や道教・陰陽道からの影響を受けているものも含まれている。夏の茅の輪潜りもその一つであるが、年の暮れに家の内・周辺の大掃除をし、風呂に入って身を清め、年越し蕎麦を食べて新年を待つのは、古代から神道が教えて来た大祓いの民俗化された習俗であることは疑えない。