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神道

皇室祭祀

 皇室祭祀は、日本国憲法で「国家国民統合の象徴」と規定されている天皇が、歴代、国家の存立と国民の幸福、世界の平和を天照大御神(あまてらすおおみかみ)・八百万(やおよろず)の神々及び歴代の皇霊に祈念されて来た非公開祭祀の総称であり、独立した体系を持っている。天皇即位後に斎行される大嘗祭(だいじょうさい。天皇として斎行される最初の新嘗祭(にいなめさい))は皇居内に設けられる臨時の大嘗宮(だいじょうきゅう)に於いて斎行されるが、この祭りや伊勢皇大神宮の祭祀も本来これに含めて考えられるべき祭祀である。

 新嘗祭は神話に天照大御神が奉仕されたと伝えられる重要神事で、新穀を神々に捧げて感謝し、神々と共に共食する祭である。

 東京奠都(1869)以来皇居内に宮中三殿と呼ばれる神殿が設けられ、皇室の祖神とされる天照大神を祀る賢所(かしこどころ)を中央に、天神地祇(てんしんちぎ。天と地の神々)を祀る神殿が東側、歴代の天皇霊を祀る皇宝殿が西側に位置し、更に新嘗祭を齋行される神嘉殿(しんかでん)が併立され、夫々廻廊で結び付けられており、天皇祭祀の一切が行われるようになった。特に昭和天皇は皇居内の神田で籾撒き・苗の田植え・稲の刈り入れ等を御自ら行われ、それを神々に捧げてお祭りされることを始められた。こうした祭りの補助者としては掌典(男)内掌典(女)が奉仕しており、祭りは元始祭(げんしさい)に始まり、祭儀は年間数十に及ぶという。天皇を祭祀王と呼ぶ学者があるのは、常に神と共に在られるのが天皇の本質だと考えられているからである。