32 氷の神さま

koori

製氷する技術がなかった時代、冬の間にできた天然の氷を涼しい山中などに作った室(むろ)に保管し、夏の間は、そこから氷を取り出し使用していました。
奈良・平安時代の宮中では、旧暦6月1日に「氷室の節会」という儀式が行われ、宮中に献上された氷が、臣下に振る舞われていました。
その風習が一般にも広がり、夏の大祓のころに、氷を模したお菓子などを戴いて無病息災を祈るようになったといわれています。

我が国における氷室の歴史は大変古く、今から約1600年前、『日本書紀』仁徳天皇六十二年条まで遡ることができます。

応神天皇の皇子・額田大中彦皇子(ぬかたのおおなかつひこのみこ)が闘鶏(つげ)の地に狩りに出掛けた際に、山上から廬(いおり)のようなものを見つけました。
闘鶏稲置大山主(つげのいなぎおおやまぬし)に訊ねてみると
「それは氷室です。氷をここに保管しておけば夏季も融けません。暑い夏の夜に氷をお水やお酒に入れて戴きます」と答えました。
額田大中彦皇子がこの氷を持ち帰り、仁徳天皇に献上したところ、天皇は大変お喜びになりました。
以来、冬季には必ず室に氷を保管するようになったといわれています。
額田大中彦皇子、闘鶏稲置大山主は、奈良氷室神社(奈良県天理市鎮座)、闘鶏野神社(大阪府高槻市鎮座)、氷室神社(奈良県奈良市鎮座)などに神様としてお祀りされています。

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