15 卯のお話

221215 mihojinja toriage

島根県・美保神社青柴垣神事〔酉あげ〕

「うさぎ」と聞いて、先ず「因幡の白兎」を思い浮かべる人も多いことでしょう。ワニ(鮫)を騙して、大怪我を負ったうさぎが、大国主神の教えにより傷が癒え、やがて大国主神の将来を祝福する神となったという神話です。

このほかにも「かちかち山」やイソップ童話の「うさぎとかめ」、ビアトリクス・ポター女史が著した児童書「ピーターラビット」等、世界的に見ても、おはなしに登場するうさぎは皆、頭の回転が速く元気いっぱいで、ちょっと悪戯好き、その結果しっぺ返しを蒙ることも多いけれど、しょんぼりと反省するような素直な一面もあり、いずれも憎めない愛くるしさを持った存在として登場しています。
その容姿や愛嬌いっぱいの仕草が人の心をひきつけて離さず、決して嫌われないといった、人間とうさぎの関係のそのままが、神話や童話に息づいているようです。

『令義解』という養老令(奈良時代の法令)の注釈書に、「下卯大嘗祭〔謂ふ、若し三の卯有らば、中卯を以て祭日と為す、更に下卯を待たず〕」とあり、新嘗祭についても、同じ定めがあります。
新嘗祭は、天皇が新穀を神々にお供えされるお祭りで、天皇の即位礼の後、はじめて行われる新嘗祭を特に大嘗祭といいます。
宮中の祭典のなかで最も重要な祭典が、卯の日を厳定して斎行されてきた理由については、やはりうさぎ。
卯の日のもつ生命力に言及される説が多く、卯は方角では東方を示し、時刻では明け六つ、午前6時を示し、季節では春を示します。

あらゆる意味において卯は、陽気の立出づる、はじまりの時を示していることが、卯の日の持つ霊力の所以であるものと信じられ、大嘗祭・新嘗祭という本年の収穫に感謝し、明年の豊かな稔りを祈念する最も重要な祭祀を、卯の日を選び、幾千度重ねてこられたのです。

うさぎにゆかりのある神社は全国的にも珍しく、とりわけ卯年の初詣では、大勢の参拝で賑う傾向があります。縁結びや安産に御利益が戴けると言われ、特に卯年生まれの人には、守護神として大切にされています。

卯の歳の生命力にあやかり、失敗を恐れず、めげず、うさぎのように元気に飛び跳ね、飛躍したいものです。

古い神饌(神前に供える飲食物)のかたちに「フトマガリ」と総称されるものがあります。
米を粉状にして水でこね、蒸したり、油で揚げたりします。
写真は、島根県・美保神社で斎行される青柴垣神事。神社や当屋へ供される数多くの神饌に、フトマガリがあり、古記録と同様、現在も鶴、亀、兎など動物を模したフトマガリが献ぜられます。

平成22年12月14日

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